電子マネーで財布は軽くなったか? ~正しい(?)電子マネーの使い方とは
2015.12.01電子マネー利用のメリットは
1年前、財布の中の現金残高が減っている話を書いた(2014年12月「若者たちの財布の中身は本当に減っているのか?」参照)。クレジットカードの普及やATM台数の増加で、多額の現金を持ち歩く必要がなくなったからだ。
では、電子マネーの効果はどうか。
山本謙三による金融・経済コラムです。
1年前、財布の中の現金残高が減っている話を書いた(2014年12月「若者たちの財布の中身は本当に減っているのか?」参照)。クレジットカードの普及やATM台数の増加で、多額の現金を持ち歩く必要がなくなったからだ。
では、電子マネーの効果はどうか。
総務省統計局の「家計調査」(総世帯)を基に年齢層別の一世帯当たりの消費動向をみると、世帯主が50歳代の世帯が最も消費支出が多い。ただし、これは世帯の人員数に影響されている。
そこで、これを世帯平均人員で割り、一人当たりの消費支出額を計算してみた。結果は次のとおりである(注)(後掲参考1参照)。
都市と地方の間の人口移動には、年齢層ごとに特徴がある。
都市部への人口移動は、10歳代(進学期)、20歳代(就職期)が多い。その規模が圧倒的に大きいため、全年齢層合計の人口流出入も都市部の大幅な流入超となる。
一方、10歳代、20歳代を除く年齢層の合計は、実は地方部が流入超だ。
フィンテック(FinTech)がブームだ。
多くのベンチャー企業が、最新の情報通信技術を駆使して、新たな金融サービス(フィンテック)の提供に乗り出している。企業の数は世界で1,000を優に超えると言われる。
家計の利用する小口決済手段が、ここ10年ほどで大きく変化している。
クレジットカード、電子マネー、コンビニ収納代行、代金引換(代引き)の利用が増え、プリペイドカードが復活しつつある。一方、内国為替(銀行振込)やデビットカードの利用は、漸増ないし漸減の状態にある。現金の利用も、シェアは緩やかに低下している。
団塊世代と呼ばれる1947~49年生まれは突出して人口が多いため、彼らの人口移動は、その都度大きな社会現象を生み出してきた。では、彼らは年齢とともに、どう地方圏と3大都市圏の間を移動してきたのだろうか。以下、国勢調査を基に確認してみたい(注)。
15~64歳の年齢層は、一般に「生産年齢人口」と呼ばれる。働き手の主力として想定されている年齢層だ。高校、大学期を含むので、必ずしも今の時代になじまない面があるが、世界共通の尺度として用いられているものなので、本稿もこれに準拠しよう。ちなみに、0~14歳は「年少人口」、65歳以上は「高齢者人口(または老年人口、老齢人口)」と呼ばれる。
東京一極集中是正論のなかで、よく聞かれるのが、「東京への一極集中が加速している」という話だ。「東京がブラックホールのように若者を際限なく吸い寄せる」との見方もある。だが、東京都の人口の全国シェアは、50年前も今も10%強で変わらない。事実関係をまず確認しておこう。
日本銀行による量的・質的金融緩和(QQE)の導入から、まもなく2年が経過する。この間、銀行預金は高めの伸びを続け、マネーストック(M3)も前年比3%弱を記録してきた(2014年5月「異次元緩和が終われば、民間預金は減少する?」参照)。しかし、日銀が供給してきたマネタリーベースの金額に比べれば、マネーストックの増加額は僅少にとどまる。
わが国の国民一人当たり実質成長率は、2000年以降、G7諸国平均並みの伸びを続けている。2008~09年のリーマンショックによる落ち込みも、2013年までに取り戻した。国民生活は着実に豊かになってきたといってよいだろう。
それにもかかわらず、多くの認識は「国民生活はほとんど改善していない」というものではないか。なぜ、そうなるのか。ここでは労働市場の構造変化を踏まえて、一つの仮説を考えてみたい。