「賢明な歳出(ワイズスペンディング)」を阻む危機感の欠如 ~Go To、一律現金給付、予備費の「なぜ?」
2020.09.01政府の経済財政諮問会議で、民間議員が「賢明な歳出(ワイズスペンディング)」の重要性を強調している。しかし、コロナ禍を受けた2度の補正予算をみる限り、その実現は遠い。
例えば、4月に成立した第1次補正予算には「農林水産物・食品の輸出力・国内供給力の強化(1,984億円)」や「公共投資の早期執行等のためのデジタルインフラの推進(178億円)」がある。名目はコロナ対応であるが、従来型の手法——すなわち、当初予算に織り込めなかった事業を補正予算に組み込む手法としかみえない。
早期の支給をうたった「一律10万円の現金給付」は、オンライン申請の混乱もあり、多くの時間を要した。そうであれば、「困っている家計に重点的に配布する」という当初方針の方が、理にかなっていただろう。