カラオケで100点を出すの記
2019.05.16
私はカラオケで100点を出したことがある。もう20年以上も前のことだ。
家族4人で近所のカラオケに出かけた。
当時、長男小3、長女幼稚園。アニメや子供の歌ばかりで、どうにも乗りが悪い。
それでも観察すれば、どの曲に高い点が出るかはおおよそ見当がつく。「忍たま乱太郎(勇気100%)」は難しい。「ちびまる子(踊るポンポコリン)」もだめ。「サザエさん」ならまずまずか。
当時の機械なので、もっぱら音程と音符の正確さが評価されるようだ。こぶしやビブラートへの評価はまだない。
単調な曲を朗々と歌いあげるのがよい。「仰げば尊し」なんかよさそうだが、妻が勝手に中断するリスクがある。
頭をひねった末、満を持して入力したのが。。。「見上げてごらん夜の星を」。
これでどうよ!
ところが、私がマイクをもったとたん、幼い娘が「トイレ」と言いだし、妻が連れ出す。と、息子も「んじゃ、ぼくも」と言って、あとを追う。
むむ? 私一人、、、か?
しかし、そんなことでめげる父ではないのだ。
「みあ~げて~ごらん~~~、よるの~ほ~しを~」
朗々と歌い上げ、得点を待つ。
じゃ~ん、100点。お、お、お~~。
うっひゃ~、100点か。
そうか。そうだよなぁ。いろいろ研究したもんなぁ。
ク~感動するなぁ。自分で自分をほめてやりたい。
だが、それでも、なお私一人だ。
ん~~、早く、みんな帰ってこいよ。
そう願ううち、、、、
突然、画面から点数が消え、画面が変わった。
「天空の城ラピュタ(君を乗せて)」。
ん? な、なんじゃ?
そこへ、長男が駆け込んできて、大慌てでマイクをとり歌い始める。
「あの、ち~へい~せん~、」
あ、ちょ、ちょっと、キミ。そこのキミ、ちょっと待ちなさい。「今、お父さん、100点出したんだぞ」。
しかし、本人は一切耳を貸さない。
む、むかつく。
そこへ、ようやく妻と娘が帰ってきた。
(私)「おい、今、お父さん、100点出したぞ」。
(妻)「あ、そ。。。この子(長男のこと)のうた、なかなかいいねぇ」
(私)「ん?、いや、そうじゃなくて、100点だぞ。。。100点。。。100点出した。。。え?なに?。。。うるさい?、、、この子のうたが聞こえない、って?、、」
(いや、そ~じゃなくて、だ。。。100点だぞ、、、100点、、、わかる?、、満点、、、100点、、、100点、、、うぐぐぐ)
(イラスト:鵜殿かりほ)