歳をとるということ
2019.06.15
50歳を過ぎたころ、妻から映画に誘われた。
一体、どうした風の吹き回しか。
尋ねてみると、「あなたが来れば、夫婦50割引が使えます」という。
「では、夫婦50割引がなければ、どうしたのか」と尋ねると、「もちろん、レディース・デイに一人で来ます」と。
ふ、不愉快な、、、と小声でつぶやく。
温泉
珍しく妻と娘と3人で旅行に出かけた。
ホテルは温泉地ではなかったが、40分ほど電車に乗れば、有名な温泉がある。
妻が雑誌で、日帰り入浴のできる温泉宿を探してくる。「女性に人気の宿」だという。
殿方用の戸をあけて、びっくり。
精々2人が入れる湯船と、1人しか浸かれない湯船の二つしかない。一体、どうしたことか。
とてもゆっくりできない。
そそくさと風呂をあとにする。
その後、待つこと40分。ようやく妻と娘が上がってきた。
尋ねると、「とても、いい風呂だった」という。
ん?
どうも、「女性に人気の温泉」とは、ご婦人用の湯船だけが大きいようだ。
たしかに、高齢化社会は女性の方がはるかに数が多い。
夜の会
そんな私も、ついに高齢者の仲間入りを果たした。
高齢者は、懇談会の始まりが早い。
若い頃は19時スタートが当たり前だったが、今では18 時スタートでも遅いくらいだ。
「なんなら17 時からでもいいぜ、ただし、19時にはお開きだ」というのが、われら高齢者の感覚である。
ある時、学生時代のクラス会に出席するため、勤務先で時間をつぶしていた。
会合のスタートは18時半。
待ちきれずに18時10分にオフィスを出た。
が、2分後には会場に着いてしまった。
会場は、たまたま道を隔てた向かいだった。
こりゃ、やっぱり早すぎだ。
誰か先に来ていてくれればいいが、、、と思いつつ、会場をのぞくと、すでに半数以上が集まっていた。
高齢者は、そんな人種である。
(イラスト 鵜殿かりほ)