金融経済イニシアティブ

健康一番

2019.09.15

「健康でいたい」という人間の願いは、とどまるところを知らない。

私も同じだ。

おかげでよく計算違いが起きる。

 

マッサージ・チェア

 

四半世紀ほど前のこと。

ワープロ専用機がパソコンにとって代わられようとする時代の話だ。

 

職場で異動があり、前任者から「そろそろ自宅にパソコンを用意した方が楽かも」との助言を受けた。

 

さっそく、現金を用意して、近くの大型量販店に出かけた。

 

だが、展示されているパソコンの種類が多く、どれがよいか、皆目見当がつかない。

 

ぼんやりと眺めるうちに、隣のコーナーのマッサージ・チェアが目に飛び込んできた。

さっそく試してみる。

 

なかなか気持ちがよいではないか。

 

現金は、たちまちマッサージ・チェアに化けた。

結果、自宅にパソコンが置かれたのは、随分あとになってからとなった。

 

*******

 

量販店では気づかなかったが、チェアはとても大きい。

狭いわが家に「マッサージ・チェアの間」ができた。

 

おかげで、家族は身を寄せ合って暮らすことになった。

 

それでも、今でも私は思う。

 

パソコンかマッサージ・チェアか。

私にとって生産性が高かったのは、マッサージ・チェアの方だった。

 

あの時の咄嗟の判断と洞察力に、われながら感心する。。。

 

ジム

 

ジム通いを始めたのも同じ頃だ。

業務継続要員として週末も都心に待機していたため、時間をみては、区のスポーツ・センターによくでかけた。

 

センターには、会社員も、近所のおじさんも、おばさんも、外国人も、お相撲さんもやって来る。

 

とくに混むのが、スクワットの機械(スミスマシン)。

センター側は混乱を避けるため、マシン前に予約板を置き、順番待ちの名前を書き込ませていた。

 

ある日、予約にいくと、私の順番はRichardという名のあとだった。

 

待つこと、約1時間。順番が近づいたので行ってみると、黙々と励んでいるのは、どうみても日本人の爺様ではないか。

 

「あ、あなたがRichardですか?」と思わず口走る。

 

以後、私も、Kevinを名乗ることにした。

若い頃、ケビン・コスナーによく似ていると言われたからだ(ウソである)。

 

しかし、予約板にKevinを書きこむ勇気がなかなか出てこない。

 

あのRichard翁は、一体何者だったのか?

 

 

(イラスト:鵜殿かりほ)