親の背中を見て育つ、、、?
2020.12.1620数年前の話。
週末はよく自宅で仕事をしていた。
講演原稿を書くことも多かった。
いまとなっては働き方改革に反するが、当時はそのような意識はなかった。
使うのも、ワープロ専用機。
電話回線やインターネットにつながっているわけでもなく、おかげで原稿の流出懸念もなかった。
長男、小1。
ワープロにへばりつく私の背後で、やたらにうるさい。
長男「ねぇ、ねぇ、遊ぼうよ!」
私「だめだめ、しごと」
長男「ふ~ん、いつ終わんの?」
私「ん~、まだまだかな」
長男「ふ~ん、つまんないねぇ。そこ、なんて書いてあんの?」
私「ん~、『私からの話は以上である』だ」
長男「なに、それ?」
私「ん~と、文章の終わりにはいつもそう書くんだよ」
長男「ふ~ん、じゃ、おしまいだね、遊ぼうよ」
私「だめだめ。文章は一度書いても、何度も見直さなきゃ、ね。」
長男「ふ~ん、つまんないねぇ」
そんな会話が、毎週末、繰り返されていた。
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ある日の深夜、仕事を終えて帰宅すると、居間の床の上に作文が。
長男が小学校で書いたものらしい。
拾い上げて読むと、「ぼくが、じゃがいもが、すきで、おいしい」といった具合の、珍妙な文章が並んでいる。
「さすがに、まだ小1か」と苦笑しながら、読み進むと、目に飛び込んできた、最後の一文が。。。
「わたしからの、はなしは、いじょうである」
(イラスト:鵜殿かりほ)