金融経済イニシアティブ

パソコンと私

2021.06.15

ベストセラー「スマホ脳」にしたがえば、私はどうも「スマホ脳」に支配されているようだ。

 

集中力の低下が著しい。

 

スマホ脳

 

私「そうだ、今日は失業率の公表日だったな。確認しておこう」

[パソコンでインターネットを立ち上げ、Googleの検索ページを開く]

 

[下部に、日頃よく見るサイトのアイコンが]

 

私「お、そうか。まず、昨日のソフトバンクホークスの試合のおさらいをしておかねばな」

[スポーツニュースのサイトへ]

 

私「ふむふむ、久しぶりに打撃が爆発したな。今年も日本一か? ふふ」

[ニュースサイトの横に読者のランキング一覧が]

 

私「ん?なんだ?「空中で打球が別のボールと衝突、100億分の1の確率」なんじゃ、こりゃ?」

[該当ページに飛ぶ]

 

私「ふ~む、メジャーリーグの話か。なになに、打撃練習で選手が打った球が外野から飛んできた球とぶつかった?」

[現場の撮影動画を見る]

 

私「なんだか、すごいぞ。それにしても「外野から飛んできた球」ってのが、気になるな。ん?隣に「米高校女子リレーに、ワンちゃん乱入、1位でゴール」という記事があるぞ」

[該当ページを開き、動画を見る]

 

私「あはは、笑える。この犬、やるではないか。ま、どうでもいいか」

[インターネットを閉じる]

 

 

私(しばらくして)「ん?何してたんだっけ?」

 

 

けしからんパソコン

 

パソコンのトラブルに、よく見舞われる。

多くの場合、インターネットで検索して、なんとか直す。

 

だが、直しても、シャットダウンすると、元のトラブル状態に戻ってしまうことがある。

 

例えば、タッチパッドだ。

そのままにしておくと、手の平がタッチパッドに触れ、あらぬ方向にポインターが飛んでいってしまう。

 

これも調べて、「設定」→「デバイス」→「タッチパッド」→「追加の設定」→「デバイス設定」→「無効」で、マウスだけを有効にする。

ところが、電源を切ったり、再起動すると、またまたタッチパッドが有効に戻ってしまう。

 

私「あ~、またか、面倒だな。え~と、「デバイス設定」か。おや?ちゃんと「無効」になってるぞ。しょうがねぇな。もう一度、「適用」ボタンを押して、無効を設定し直そう」

 

だが、翌日、また同じ現象が起きる。

 

私「ん~、頭へ来るな。「デバイス設定」も、やっぱり無効のままなのにな。おい、パソコン、大丈夫か」

パソコン「あ、えろ、すんまへん、ちょっと寝不足で」

私「夜中にスマホなんか見てんじゃねぇぞ」

 

2日目、また同じことが。

私「おい、えぇかげんにせんか」

パソコン「すんまへん、ちょっとぼーっとしてました」

私「すんまへんじゃ、済みません、だぞ」

パソコン「は、以後気を付けます」

私「頼むよ」

 

3日目、また同じことが。

私「おい、お前、オレのことを絶対にバカにしてんだろ」

パソコン「いぇ、いえ、滅相もございません」

私「んじゃ、なんだ?」

パソコン「いえ、いえ、そんなことは。ただ。。。」

私「ん? ただ、何だ?」

パソコン「ただ、一言だけ」

私「だから、なんだ?」

パソコン「タッチパッドは文明の利器とでも申しましょうか」

私「ん?」

パソコン「若者の間では、マウスはもう古いってことで」

私「古かろうがなんだろうが、オレはマウス派だ。言い訳は聞きたくないね」

パソコン「そうっすか、結構便利なんすけどね」

 

4日目、また同じことが。

私「今日の今日は、堪忍袋の緒が切れた。もう売り飛ばすぞ」

パソコン「ま、ともかく落ち着いて。私としても、タッチパッドを愛用してくださる方に使ってもらった方が、うれしぃっちゃぁ、うれしいんすけどね」

私「お前、ほんとにむかつくヤツだな、覚えとけよ」

パソコン「あ、はい、覚えておきます」

 

5日目、また同じことが。

私「。。。」

パソコン「おや、また、こちらにおいでですか。昨日のお話もあったんで、一応気にはしてたんですけどね」

私「。。。」

パソコン「まさか、買い替えるお金がない、とか?」

私(うっ)

パソコン「使っていただけるんでしたら、タッチパッドの使い方を教えて差し上げてもいいんすよ」

私「。。。」

パソコン「。。。」

私「。。。」

パソコン「では、またのお越しを」

 

 

 

(イラスト:鵜殿かりほ)