「ヒット」ってなぁ~に? ~わが野球ファン遍歴
2022.05.06小さい頃から、ソフトバンクホークスのファンである。
正確には、南海ホークス→ダイエーホークス→ソフトバンクホークスのファンだ。
なぜそうなったかは、分からない。
聞かれれば「福岡生まれだから」と答えるが、嘘である。
当時の福岡は、西鉄ライオンズの牙城だった。
物心がついた時には、すでに南海ホークスのファンだった。
幸い、妻と長男もホークスファンである。ひとり長女は「われ関せず」だ。
勝つか負けるか
球場での観戦は、シーズン初めに限る。
その頃であれば、優勝への期待に胸躍らせて応援できる。
敵の球場ながら、自宅はロッテのマリーンスタジアムに近い。
今年も、早速出かけることにした。
妻は用事があり、一人での観戦となる。
妻「本当に行くの?」
私「もちろん! 平日の昼に野球を観にいけるなんて、年寄りの特権じゃないか」
妻「いや、そうじゃなくて」
私「あ、そうか、すまんな。あなたの分もしっかり応援してくる」
妻「いや、そうじゃなくて。。。やめた方がいいんじゃない?」
私「ん? なぜ?」
妻「あなたが応援にいくと、負けるからよ!」
私「えっ!?」
妻「〇〇の時も、△△の時も負けた、いつも負けてる」
私「そうだっけ? 勝ったこともあるにはあるぞ」
妻「ほら、ほとんど負けてる」
私「ジンクスとは破られるためにあるのだ」
妻「いつもゲン担ぎしてる人に言われたくないね」
私「ん~、個人の意見として聞いておく」
妻「気づいてないかもしれないけど、今、私は日本全国すべてのホークスファンの期待を背負って、あなたに話しているのだ」
私「うっ」
それでも、結局、妻に車で送り迎えをしてもらい、観戦を強行した。今日は、珍しく勝った。首の皮一枚つながった。
ファウルボール
以前、パリーグの試合は観客席がガラガラの時もあった。
シーズン終盤、CS進出のかからないチーム同士の対決は、とくに閑散としていた。
若いカップルにとっては、格好のデート場所だったようだ。
25年ほど前、長男(小2)を連れて東京ドーム(内野席)に出かけた。
その日も観客席は空いていて、2列前には、若いカップルが楽しそうに観戦していた。
と、すぐ近くにファウルボールが。
とっさに立ち上がった。
が、ツーバウンドしたボールは、カップルの男性の手中に収まった。
長男、無邪気に話しかけてくる。
長男「ねぇねぇ、お父さん、あのボール、どうなるんだろ?」
私「たしか、そのままもらえると思うよ」
長男「そっか、惜しいことしたね、もすこしだったのにね」
私「人生は、惜しいことの連続なのだ」
長男「あ~残念、帰ってお母さんに見せてあげられたのにねぇ」
当人は全く悪気がなかったが、よく通る声だった。
と、件(くだん)のカップルの男性、後ろを振り返って。
男性「ぼく、このボールあげるよ」
私「あ、いえいえ、それは。。。」
長男「あ、ありがとうございます!」
私(ん?)
男性「はい、どうぞ」
長男「家宝にします」
男性・女性(苦笑)
私「どぅも、すみません」
男性「どういたしまして」
長男「ほんとうに、ありがとうございます」
私(こやつ(息子)、なかなかやるな)
そのボールは家宝として、長らく長男の本棚に飾られていた。
「H」はヒットだが、、、
以前、妻とマリーンスタジアムに出かけた。
今度は、すぐ後ろに若いカップルがいた。
自然と、会話が耳に飛び込んでくる。
女性は野球にあまり詳しくないようだ。
女性(スコアボードを見て)「ピッチャーのところに書いてある数字って何?」
男性「あ~防御率ね、ピッチャーがどれだけ点をとられたかを示している」
女性「ふ~ん、ずいぶん、大きな数字ね」
男性「1イニング当たりどれだけ点をとられたかだから、大きな数字は良くない」
女性「ふ~ん」
女性「あの1塁の後ろにいる人、だれ?」
男性「ん?走塁コーチ」
女性「ふ~ん、何する人」
男性「うん、ランナーに色々とアドバイスをする人」
女性「必要?」
私(おぉ、なかなかいい質問ではないか)
男性「うん、牽制球とか、いろいろとピッチャーのクセを教えたりしてる」
私(ん~「どちらかといえば、必要ないかもしれない」ぐらいの答えがほしかったな。)
いかん、いかん。会話が気になって、試合に集中できないではないか。
と、ヒットを打たれた。
女性「あれ?いま、Hってランプがついた」
男性「あぁ、ヒットのHだね」
女性「ふ~ん、、、、、、ヒットってなぁ~に?」
私(ガクッ)
私は、思った。
ヒットも知らんのなら、デートは別の場所にしてはどうか。
これは、年寄りのひがみなのか??
(イラスト:鵜殿かりほ)