カラ回りする教育的指導
2022.11.01私は、冷静な判断力でなる血液型A型である。一方、妻、長男、長女はみなAB型だ。
私には、AB型との生活というものが見当つかないのだった。
ライブハウス
15年ほど前。
大学に入ったばかりの長男が、ライブハウスに出演を申し込んできたと騒いでいた。
(ん!?)
聞けば、一人で出るという。
彼が人前で歌ったことといえば、近所の夏祭りのカラオケ大会ぐらいだ。
しかも、その時は、機械の故障で何分も待たされるわ、キーが合わず低音は出ないわで、、散々だった。
(む、無謀な。。。)
出演者は、持ち時間各20分。
出演のために費用の負担はないが、店からは友人10人程度を連れてくることを期待されているようだった。
しかし、日が近づくにつれ、彼は焦り出した。
どうも10人を確保できていない様子だ。
これ幸いと、私と妻が助け舟を出すことに。
当日。
バーを兼ねたライブハウスは、東京六本木にある小さな店だった。
場違いの私たちは、ステージから最も離れた席で息をひそめる。
他の出演者はみなうまい。
キーボードの弾き語りもあれば、バンドもある。
素人とはいえ、手慣れたものである。
そうこうするうちに、彼の出番がやってきた。
当人以上に、固まる妻と私。
うつむいて、ひたすら時間が過ぎるのを待つ。
(大谷翔平選手の親御さんになった気分だ、、、、だいぶ違うか)
20分後、ギターの弾き語りがようやく終わった。
歌はともかく、合間のトークがなんとも、、、。
翌朝、長男が妻に昨夜のことを興奮気味に話していた。
長男「で、友達のコメントがさぁ、、、あれやこれや、、、」
そこで、私からも一言。
私「あ~、君、君。これからはトーク原稿をもってくるよーに。、赤ペンを入れてあげるから」
長男「おやじ、うざっ!」
バレーボール
長女は、中学校のころ、バレーボール部のキャプテンだった。
運動能力もリーダーシップも目立つものはなかったが、なぜかそうだった。
ある日、後輩から電話がかかってきた。
耳をそば立てると、どうも、明日練習があるかどうかを尋ねられているようだった。
長女「ん~~と、ちょっとわかんない。また電話する。」
(ん??、お前はキャプテンじゃないのか?)
それから彼女は電話をかけ始めた。どうもクラブの仲間にかけているようだ。
(ん?顧問の先生に聞くんじゃないんかぃ?)
ひとしきり電話をかけ終えると、彼女は先ほどの後輩に電話をかけ直した。
長女「あ、お待たせ」
後輩「あ、先輩、わざわざありがとうございます」
長女「明日の練習は、ないっぽい」
後輩「そうっすか、ありがとうございます」
(ん??)
私「あ~、君、君。「ないっぽい」はないな。「ないっぽい」は。「ないっぽい」では、結局どっちかわからん。。。。将来、社会人になったらば、だなぁ、、、ぶつぶつぶつ、、、、」
長女「お父さん、うざっ!」
2人とも顔は私にそっくりなのだが、性格は一体誰に似た?
思わず、となりをのぞき込む。
妻「ん?、私?、めっそうもございませんっ」
(イラスト:鵜殿かりほ)